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ブランクーシを通して視るホアキン・ベラオ

こんにちは、JOAQUIN BERAOスタッフの小西です。梅雨明けが待たれる小暑の候、皆様いかがお過ごしでしょうか?

先日、アーティゾン美術館(東京・京橋)で開催された「ブランクーシ 本質を象る」展を鑑賞してまいりました! 

ルーマニア出身の彫刻家 コンスタンティン・ブランクーシは現代彫刻の先駆者と言われ、その後のアート界に多大なる影響を与えました。JOAQUIN BERAOのデザイナー ホアキン・ベラオも、かねてよりブランクーシへの敬意を表しています。

本日はブランクーシ展の写真と共に、ホアキン・ベラオがブランクーシから受けた影響や作品の魅力をお伝えしていきたいと思います。

 

展覧会のタイトルにある「本質を象る」という言葉の通り、ブランクーシの作品は、主題の本質を極めてミニマルに表現しているのが特徴です。

ブランクーシは、対象の真の意味に迫ろうとすることで単純さに到達する、と述べています。意図してミニマルな作品を創ったのではなく、本質を探求した結果、余分な要素をすべて削ぎ落とした造形に辿り着いたのですね。

“Simplicity is complexity resolved.”
これは彼が残した言葉の中で有名なもののひとつで、「シンプルさとは、解決された複雑さである。」という意味。ホアキン・べラオも、自身のインタビューでこのフレーズを引用することがあります。(参照:https://www.wwdjapan.com/articles/1445932


《苦しみ》

《眠れるミューズII》

極端に削ぎ落とされたシンプルなフォルムは、対象物の見た目や姿かたちというよりも、精神や概念、それを観察したときの心の動きを描いているように思えます。ブランクーシは、「大理石やブロンズによる馬の複製は、馬の死体である。生きている馬には、死体にはない何かがある。それは本質、あるいはおそらく精神と呼びうるものであろう」と語っていたそう。

そして造形に次いで印象に残るのが、素材の加工です。彼の彫刻作品に多く用いられているのが、鏡面になるまで磨かれたブロンズ。こうして光や反射を作品に取り込んだことも、彼が現代彫刻の創始者と評される所以なのだとか。研磨によって光沢が生まれるという素材特性を活かした加工も、ある意味で本質に迫る手段のひとつだと言えそうです。


《雄鶏》

《魚》

創作活動において本質を象る「真の形態」を目指したブランクーシは、「真の形態は無限を示唆するものでなければならない」という言葉を残しています。

形のない「無限」という概念を形ある彫刻を通して表現し続けたブランクーシに、ホアキン・べラオは共感したのではないでしょうか。フォルムとミラーフィニッシュ(鏡面加工)で対象の本質を表す作風から、ホアキン・べラオがブランクーシから受けた影響を見出すことができます。

JOAQUIN BERAOの魅力のひとつは、LINEA(線)、DESEO(欲望)、POEMA(詩)など、目に見えるようで見えないテーマを造形で表現しているところにあると私は感じています。そしてブランクーシほどの極端さは見られないにしても、シンプルで洗練されたフォルムが印象的。一般的なジュエリーとは違う彫刻のような佇まいが目を引きます。

このような芸術的感覚を反映したジュエリーだからこそ、時を経ても色褪せず新鮮な気持ちで身に纏えるのかもしれません。

ホアキン・べラオは自身の作るジュエリーについて、社会的地位ではなく身に着ける人の個性を表現するものでありたい、 と述べています。あらゆるテーマの本質を捉え形にしていく彼の姿勢はブランクーシとも通じる部分があり、それが身に着ける人の本質(生まれ持った個性や、独自の感性)を引き出すクリエイションに繋がっていくのではないでしょうか。

 

JOAQUIN BERAO Shopに展覧会の図録を置いてありますので、ご興味をお持ちいただけたら是非ご覧になってみてくださいね!

ブランクーシを通して、JOAQUIN BERAOのジュエリーに対する愛着をさらに深めてもらえれば嬉しいです。

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